家元の花嫁【加筆修正中】
「ゆのさん、隼斗の茶は如何だったかな?」
ご隠居が口を開いた。
「大変結構な服加減です。渋みが少なく甘みが口に溶け入り、お茶の香りが広がって…。隼さんのようにとっても優しいお茶でした」
ゆのは優しく微笑みながら俺の方を…
「うむ、そうじゃな。では、わしの茶は如何だったかな?」
「はい。甘みは少な目ですがコクがあり、深みがありました。隼斗さんとはまた違ったお茶でしたが、とっても奥行きのある素敵なお茶でした」
「ほぉ~なるほど……。家元が認めるだけの事はある」
認める? 何を??
俺の茶を? それともゆのの事を??
俺の心臓はさらに速さを増した。
俺は瞬きもせず、じーっとご隠居を見つめた。
あまりの緊張に無意識に奥歯を噛みしめ、
膝の上で握り拳が出来ている。
「隼斗。お前は良い女子(おなご)を見つけたのぉ。合格じゃ。ゆのさん、これからもその心を大切にな?」
「???……はい。こちらこそ不束者ですが、何卒宜しくお願い致します」
ゆのは畳に指を付き、深々お辞儀をした。
何が起きたんだ!?
合 格 …… !?
俺…ご隠居に認めて貰えたのか?