家元の花嫁【加筆修正中】


隼斗さんは不敵な笑みを浮かべ、顎で早くしろと急かしてくる。


「手伝うって言ったのはゆのだぞ?」


「てっ…て、手伝うと言ったのは脱いだお着物を片付けるという意味です」


「じゃあ着替えは手伝ってくれないの?」


私を試すような意地悪な瞳で…


「ひ、1人で出来るじゃないですか!?」


「俺が1人でするって言ったのをゆのが手伝うって言ったんだろ?ほら!腰ひも解いて?」


「なっ!?/////////////」


隼斗さんは全く動こうとせず、私を見下ろしている。


もう…なんでこうなるのよ…。


はあ…。私は仕方なく…


袷(あわせ=10月~5月頃まで着る着物)の腰ひもに手を掛けた。


ひもを解く手に力が入らない。


あまりの緊張で手が震える。


やっとの想いで腰ひもを解くと…


はらりと襟が広がり…袷の下に着ている襦袢がチラリと見えた。


思わず視線が泳ぐ。


「次は襦袢の腰ひも!!」


私が視線を外した隙に袷を床に脱ぎ捨てていた。


視線を外すだけでは足りない…。


狼狽もいいとこ…。


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