家元の花嫁【加筆修正中】


「玲、………何なの?」

「ゆの、いい?普通ね、今時期に欲しいもの聞かれて、クリスマスが連想出来ないのはアンタくらいよ。それに、何?平穏な日々って、老人じゃあるまいし」

「えっ、だって、本当に平穏が一番だよ?」

「ってか、既に平穏な日々になってんじゃん」

「へ?」

「家賃やら食費やらお金の事、気にしなくて済んでるでしょ?それに寝る部屋に困ってるわけじゃないし」

「そりゃあ、困ってはいないけど。見ず知らずの家で気が引けるよ」

「贅沢言わない!!」

「うっ……」



―――――分かってる。


今の自分がどれだけ恵まれてるかって事くらい。


滞納していたアパートの家賃を完済した上、

どこにも行くあての無い私を引き取ってくれた。


さらに、お金を持ち逃げし、

突然失踪した父の事を会話にも出さずに気を遣っている事くらい。



隼斗さんの優しさは伝わっている。

彼のご両親も物凄く優しい。



『これは体にいいのよ』と、食事にも気を遣ってくれて。



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