家元の花嫁【加筆修正中】
母親を亡くして以来、誰にも頼らず生きて来た。
あてにならない父親の帰りを待つのは、ホント言うと辛い。
だけど、唯一血が繋がった家族だからと自分に言い聞かせ、
いつも1人で我慢して、そして仕方なく納得していた。
だから、私を心配してくれる藤堂家の人々が
『心の家族』のような気がして来たのも事実。
………感謝してもし切れない。
「ゆのの事、本当に迷惑だったら………引き取らないと思うよ?」
「……………うん」
「だからさ、少しずつ………受け入れてみたら?」
「ん~………そう………だね」
「そうそう、その意気だよ!!」
玲はいつだって真剣に話を聞いてくれる。
だからこそ、彼女の言葉はスッと心に入り込んで来る。
―――――そうだよね?
私は『お金で買われた』と思っていたけど、
実際、隼斗さんのご両親はこの経緯を知らないんだもんね?
私が1人で反発してても、何も解決しないんだ。
彼の考えは未だに分からないけど、
折を見て、きちんと話し合ってみよう。
私を助けてくれた事実は変わらないしね。
玲に言われ、1人納得していると