家元の花嫁【加筆修正中】


彼女の口から出て来た言葉に唖然とした。


お金に困っている事は知っていたから、

冗談で『お金』と答えるかもな?なんて考えていた俺。


けれど、彼女は違った。

彼女が発した『平穏な日々』という言葉からは

彼女の切実な想いが込められている気がして……。



俺はそんな彼女の事をもっと知りたいと思った。

だって、こんなにも澄んでる瞳をしてる子が

あまりにも次元違いな言葉を発しているのだから……。



俺は彼女にこれまでの生活の事を尋ねてみた。


すると……。



父親が金を持ち逃げして失踪した後は、

いつも1人で生活していたらしい。


1人分の食事を作るのが勿体なくて、

最近は『まかない』が出る職場でバイトしていると。


今までは学校が終わったら22時までバイト詰めだったらしく、

最近は時給のいいカフェでバイトするようになり、

その分、早めに帰るようにしてたのだとか。


………と言うのも、ストーカーらしき男に付き纏われ

正直、暗くなって帰宅するのが怖かったらしい。


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