SaKuRa
私のクマコレクションの棚の特等席にはまだ『さくらグマ』がいた。

さくらの授業ノートも時々開いてた。

上司に怒鳴られて落ち込んだ日も無性に寂しい日も
開くと落ち着くし元気になれる。

忘れたいなら段ボール箱に入れて押し入れの一番奥にしまえばいいのに
いつも引き出しに入れていた。

時々『さくらグマ』相手に話しかけていた。

「あんなに会おうねって言ったのに冷たいよね。」



そう言いながらもずっと心に引っ掛かっていた。

ずっと気になっていた。

さくらが自分の中で大きくなる。



あれから7年…。

25才の春がもうすぐまたやってくる―――。





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