君が見上げたあの空は
結局、響との話しで昼休みが潰れ、歩美は、なにも借りずに図書館を出た。

教室に戻るまでの道を歩きながら、考えてみる。

空知くんは、旅立ちたかったんだ。



「…どこへ…?」



あたしは、旅立てなくなった。



「…なんで…?」



立ち止まり、空を見上げる。

歩美の目に写るのは、空だった。

もちろん、空だ。

しかし、空でしかない。



「…綺麗…」



あたしは、まだ、見てるだけだってことか。



「思うよ、あたしも…」



…空が綺麗だって…。



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