君が見上げたあの空は
幸雄は拳を解いた。



「で、野原さんと桜庭さんは、このアホと、なにを話してたん?」



傍らの、頭を抱えて唸る蒼意を無視して、小春は幸雄に話した。



「へぇ。あの、近衛先輩がねぇ…」

「そうなのっ、紅茶も、そりゃもう、美味しくてっ!」



小春は手を合わせた。



「向井くんも、行かない?」



幸雄は顎に手を当てた。



「迷惑にならんかな?」

「大丈夫、大丈夫。近衛先輩、優しいからっ!」

「そうじゃなくて、騒いだりさ」

「大丈夫っ!」



そう言って、小春は蒼意と幸雄の手を引いた。



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