君が見上げたあの空は
「近衛先輩は、居ないんですか?」



席につくなり、小春は訊いた。

玉兎は微笑んだ。



「今日は、まだですね」

「じゃあ、小日向先輩は?」

「彼は、お客さまなので、いついらっしゃるかは、私には、ちょっと…」



小春は頬を膨らませた。



「なーんだ…」



歩美は小春の脇腹をつねった。



「空知くんと向井くん、なに頼む?」

「俺は、ポテトドッグセットをブレンドで。幸雄は?」

「焼肉ピラフセットを。アメリカン、お願いします」



歩美は小春の脇腹から、手を離した。



「あたしは、ケーキセット。チーズケーキに、紅茶にしようかな。小春は?」

「…紅茶」



小春は恨めしげに歩美を睨んだ。




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