君が見上げたあの空は
歩美は口元を歪めた。



「仕事なんて、そんなもんでしょ」



蒼意は眉尻を下げた。



「のっぺさん。それ、本気で言ってる?」

「…悪い?」



蒼意は目をつむり、深く、息を吐いた。



「…可哀想に」



歩美は眉間に皺を寄せた。



「馬鹿にしてるわけ?」

「別に。ただ、キルケゴールに会わせてみたいな」

「あたしを?」



蒼意は応えずに、歩きだした。



「帰ろ、のっぺさん」



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