君が見上げたあの空は
店の扉が開く。

望が顔を出した。

望は歩美に気付くと、微笑んだ。



「こんにちは。野原さん」

「こんにちは。小日向先輩」



歩美の挨拶を聞いて、蒼意は慌てて席を発ち、望の前に躍り出た。



「…えっと…?」

「はじめまして。自分は、空知蒼意という者です。元・明凪学園写真新聞部の、小日向望先輩とお見受けしました。ぜひとも、お伺いしたいことが有るのですが、訊いてもよろしいでしょうか?」



興奮した様子でまくし立てる蒼意に、望は、一瞬、戸惑った様な顔をした後、微笑んだ。



「僕でよければ、いくらでも」




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