君が見上げたあの空は
二人は校門を潜った。



「キルケゴールって、誰?」

「もう、どこにもいない、おっさん」



歩美は軽く、蒼意を睨んだ。



「髪、黒く染めなさい」

「やだ」

「…なんで、そんな、青くしたの?」



蒼意はふにゃりと笑った。



「のっぺさんは笑いそうだから、言わない」



歩美は思う。

やっぱ、コイツは、あたしを見くびってる。



「笑わないよ」

「一生、一緒に、愛し合おう」

「…は?」



歩美は横目で蒼意を見た。



「なによ、いきなり」

「今、俺が言った様な台詞ってさ、よく有るじゃない?」

「…まあ、ドラマとかでね」

「限り無く、不可能に近いよね、アレ」

「まあ、不可能よね」



蒼意は小さく吹き出した。



「やっぱり、のっぺさんには言えないな」



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