君が見上げたあの空は
「最悪だ。と、言えるうちは~」なんて台詞が出たのは、リア王だったか。

そんなことを思いながら、歩美は溜め息をつくことも忘れ、通学路を歩いていた。

その傍らには、一騎が歩く。



「歩美お嬢様に、嵐が吹き荒ぶ様な世間を、一人で行かせるわけにはまいりません」



そう言って、一騎は、嫌がる歩美の左後ろに付いて歩く。

ちなみに、朝食は、見知らぬ家政婦によって、用意されていた。

津村豊と名乗ったその家政婦の他にも、清美専属のメイドが居るらしい。



「あー…」



歩美は舌打ちして、一騎を睨む。

一騎は涼しげに微笑んだ。




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