君が見上げたあの空は
「ふっ!」



なんの前触れも無く、一騎は身をひねった。

伸ばした右腕の先には、鈍く輝くナイフが在った。



「…あ、歩美…?」



一騎のナイフの切っ先は、両手を広げた小春に突き付けられていた。



「貴様…。今、歩美お嬢様の背後から忍び寄り、なにをする気だった…?」

「あ、歩美ぃっ、なに、この人…?」



凄む一騎に、小春は怯えきっている。

歩美は一騎の腕を掴むが、一騎の腕は、ビクともしない。



「ちょっ…。高城さん、なにやってんのよ、アンタ!」



一騎の鋭い眼光は、小春を逃がさないままだった。



「この者は今、歩美お嬢様を、背後から襲う様な素振りを…」

「このコは、あたしの友達だっ、この、バカタレっ!」




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