君が見上げたあの空は
「…いつも、なにを見てるわけ?」



言いながら、歩美は蒼意の横に立ち、上を見上げた。



「UFOでも、飛んでんの?」



視界にはただ、広く、青い空。



俺が見てるのは、と、蒼意は言う。



「のっぺさんには、見えないものだよ」



歩美は口元を歪めた。



「…馬鹿にすんな」

「のっぺさんには、文学性が足りない」



上体を起こし、蒼意を睨む。



「馬鹿にすんなっ!」



立ち上がり、階下への扉へと向かう。



「今日は、HR、サボんじゃないわよ!」



吐き捨てて、扉を開けた。



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