君が見上げたあの空は
教室には、まだ、あまり登校している生徒は居なかった。

歩美は乱暴に扉を閉め、自分の席に座った。



「…むかつく」



そう呟いて、携帯電話を取り出す。

インターネットに接続すると、指が止まった。

歩美は思った。

あたしのブックマークは、最初から登録されていたものしかない。

自分で追加したものが、何一つ、無い。



「…なーにが、文学性だ…」



蒼意に言われた言葉を思い出し、不快感に苛まれる。



「歩美。おはよー」



背後からかけられた挨拶に、少しだけ安心した自分を認識し、軽く自己嫌悪をした。




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