君が見上げたあの空は

乾坤

「空知くんっ!」



晴れやかな空に、怒声が響く。

開け放たれた屋上と階下を繋ぐ扉から、ずんずんと進み出る少女が一人。

少女は肩をいからせ、しなやかな黒く長い三つ編みを踊らせ、大股で歩いた。

屋上の中央辺りで足を止め、眼下に寝転がる人物に向かって、少女は怒鳴る。



「空知蒼意。HRをサボるな、髪を黒く染めろ、あたしの仕事を増やすな!」



蒼意はゆっくりと口を開いた。



「おはよう。のっぺさん」

「あたしの名前は野原歩美、だっ!」



蒼意はふにゃりと笑って、青く染まった髪をかきあげ、身体を起こした。



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