君が見上げたあの空は
昼休み。



歩美は図書館に向かいながら思った。

なにが文学性だ。あたしにだって、理解出来るはずだ。



歩美が通う明凪学園には、他の校舎や購買とは独立した建物として、図書館が存在している。



扉を開け、建物に入り、周りを見回す。

歩美は思った。

空気が違う。

学園の、他のどの場所とも違う。

うら寂しい…。違う。

厳粛…。違う。

静寂。そう、静寂だ。





深呼吸。





ここには、偉そうな熊五郎も居なけりゃ、無神経スレスレに無邪気な少女も居なけりゃ、変な青髪も居ない。



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