君が見上げたあの空は
歩美は図書館の中を散策してみることにした。

世界文学、日本文学、ライトノベル、図鑑、学術書、辞書、雑誌。

一歩、本棚に近付く度に、一つ、表題が目に入る度に、不思議な高揚感が湧いてきた。

触れてみたい、しかし、触れるのが怖い。

歩美は葛藤の最中にいた。





足が止まる。





目の前には、写真集が並んでいた。





歩美は、なにを考えるともなく、微かに震える手を、吸い込まれる様に、一冊の真新しい写真詩集に伸ばしていた。





「千鳥、美羽…」





知らず、背表紙に記された名前を呟いていた。



< 21 / 132 >

この作品をシェア

pagetop