君が見上げたあの空は
歩美は手にとった一冊を脇に抱え、閲覧スペースの端の席に座り、その写真詩集を開いた。





そこには、空があった。

青、雲、光、流れ、木々、花、大地。

広く、高く、大きく、鮮やかで、雄大な、しかし、遠過ぎる感じはしなかった。




歩美は、その写真の場所に瞬間移動し、あたかもそこに居るかの様な感覚を味わった。

歩美には、確かに、感じることが出来た。

匂い、風、気温、光、風景。

そこに写されたものだけではなかった。

周りを見回すことだって、出来た。





歩美は、確かに、そこに行った。




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