君が見上げたあの空は
放課後。



歩美は一目散に、図書館へ向かった。

写真集が収められた本棚に急ぎ、背表紙を追ってゆく。



「千鳥、美羽…」



呟き、その名前を探した。

やはり真新しいものが、数冊有った。

全て取り出して、閲覧スペースの隅に陣取る。





写真を体験し、何度も旅立った。

なにもかもが新鮮で、途方も無い充足感に満たされた。

写真の脇に有る短い詩の意味は、言葉に出来なかったが、腑に落ちる感覚があった。



取り出したものを一通り味わうと、もう、下校時刻になっていた。

歩美は思った。





まだ、足りない。





歩美は、取り出した全てのものを借りて、図書館を出た。

既に、日がかげり始めていた。

< 25 / 132 >

この作品をシェア

pagetop