君が見上げたあの空は
「あ…」

「大丈夫かな、風邪とか、ひいてない?」



歩美は立ち上がり、毛布を畳んだ。



「これ…」

「うん。ウチの」



毛布を差し出そうとして、くしゃみが出る。

歩美は唇を噛み、俯いて、毛布を持つ手を突き出した。



「…これ、ありがとうございました」



青年は、毛布を受け取り、柔和に微笑んだ。



「紅茶はお好きかな?」

「え?」



青年はゆっくりと繰り返した。



「紅茶は、お好きかな?」


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