君が見上げたあの空は
歩美は思う。

そんなわけ、ない。

男が女に恩を売る。

そこに、裏が無いわけがない。



「どうやら、信じてもらえていない様だね」



誠は軽く、頭を掻いた。



「玉兎さーん」



誠が奥に声を向けると、やはりエプロンを着た、艶の有る白髪を後ろで縛った男性がやって来た。



「なんだい、近衛くん?」

「女子高生の警戒を解く方法が、判らないんですが…」



玉兎は小さく吹き出した。



「近衛くんの、本領じゃないのかい?」

「まだ、勉強中ですから…」



歩美は思った。

なんだ、コイツ。

ナンパ師のタマゴか?



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