君が見上げたあの空は
歩美には、玉兎の言葉の意味が解らなかった。



「勝負…?」

「はい。勝負です。近衛くん。そういうことだけど、受けるかい?」



誠は、困った様に微笑んだ。



「はい。受けて立ちますよ、玉兎さん」



店のドアベルが、ささやかな音を立てる。

可愛らしい、男性とも女性ともつかない顔立ちの人物が店に足を踏み入れた。



「いらっしゃいませ」



玉兎はすぐに、そちらに顔を向けた。



「小日向くん。ちょうどいい。立会人をやってくれないかな?」



小日向と呼ばれた青年は、目を細めた。



< 36 / 132 >

この作品をシェア

pagetop