君が見上げたあの空は
二人が教室に入ると、拍手が起こった。

生徒の一人が声をあげる。



「さっすが、野原さん。やっぱり、空知を引っ張って来れるのは、野原さんしかいない!」

「アテにすんなっ!」



歩美は蒼意の襟元から手を離し、一番前の、入口に近い席に座った。



「空知。席につけぃ」



諦めた様な教師の声に欠伸で応え、蒼意はのろのろと窓際の一番後ろの席に座った。

教師は小さく溜め息をついて、中断していたHRの続きを進めた。


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