君が見上げたあの空は
しばらくして、二人が戻る。

誠は盆を持ち、二つのカップを、歩美の前に置いた。

カップには、琥珀色の液体が注がれていた。



「…これを飲め、と?」



歩美以外の全員が、頷いた。



歩美は小さく溜め息をつき、左のカップに手を伸ばした。

カップを傾け、液体を口に流す。





まず届いたのは、香りだった。

そして熱が、少しの渋みと、微かな甘味が、口を満たし、鼻を満たし、喉を、胃を、頭から爪先までを、満たした。



「…美味しい…」



歩美が呟くと、誠は微笑んだ。



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