君が見上げたあの空は
甘美な余韻に浸りつつも、歩美は、もう一つのカップに手を伸ばした。

同じ様に、カップを傾ける。





歩美は、千鳥美羽の写真詩集を開いた時の様に、瞬間移動した。





一瞬で、様々な場所へ行き、雪崩の様にその場を体験した。

歩美が見たことも無い様な景色も有った。

しかし、歩美は、確かに、それを体験することが出来た。





唇に触れる熱いものの途絶えが、歩美を喫茶店へと帰らせた。



「…凄い…」



玉兎は微笑み、誠に顔を向けた。

誠は天井を仰ぎ、両手を上げた。



「参りました。玉兎さん」


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