君が見上げたあの空は
知らず、歩美は口を開いていた。



「なんで、こんな、…いろんな…ところ…、あたし、今、いろんなところに…、すご…」



歩美は上手く、言葉を紡げなかった。

玉兎は片眉を上げた。



「ほう。解りますか」

「解りません。でも、あたし、今…」



続けようとした歩美を、玉兎が制した。



「色んなところに、行きましたか?」



歩美は驚き、頷いた。

玉兎は語る。



「色んなところ。今、お飲みいただいた紅茶は、様々な茶葉を混ぜたものです。産地も、種類も、多岐にわたります」




そして、と、玉兎は続けた。



「貴方は、それを体験出来るだけの、感性をお持ちの様です」


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