君が見上げたあの空は
誠は軽く、頭を掻いた。



「僕は最初、解らなかったのにな…」



青年は、くすくすと笑った。



「玉兎さんにも、お客さんにも、完敗ですね。近衛先輩」

「まったく、その通りだよ。雪に話したら、笑われるな、こりゃ…」



誠は肩を落とした。



「あ、いや、そっちの紅茶も、美味しかったです。なんか、満たされる感じがしたっていうか…」



誠は、弱々しく笑った。



「ありがとう」

「近衛くん。お客様には、敬語を使いなさい」

「すみません。つい」



誠は軽く、頭を掻いた。


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