君が見上げたあの空は
雄歩は警官に取り押さえられ、応援に来た警官に連行された。

歩美は着替え、取り調べを受けた。





青年が残った。

歩美は呟いた。



「…なんで…」

「お店に、生徒証が挟まれた生徒手帳を落としていました」



青年は黒い手帳を差し出した。



「僕は、記載された情報を基に、ここにたどり着きました」



手帳を受け取り、目で先を促す。



「鍵が開いていたので不審に思いました。そして、貴方の悲鳴が聞こえました」

「警察…、早かったですね」

「近衛先輩の後輩の先輩のお陰です」



歩美は首をかしげた。

青年は微笑み、続けた。



「近衛先輩の、放送部時代の部活動の後輩の通う大学の、その後輩の先輩です」



掠れた笑いがもれた。



「…ややこしいです…」

「僕も、そう思いました」



青年は声を出さずに笑った。


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