君が見上げたあの空は
青年は笑みを消した。



「…お母さんは、お仕事ですか?」

「…はい」

「先程、警察の方が連絡していた様ですが…」



歩美は力無く笑った。



「…あの人は、この程度のトラブルでは、帰って来ません」



青年は表情を険しくした。

歩美は思う。

そうだ。

こんなことじゃ、あの人は帰って来ない。

きっと、あたしに、なにが起こっても。



「では、誰が、貴方を守るんですか?」



青年は静かに、感情を圧し殺した声で言った。


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