君が見上げたあの空は
昼休み。



小春は机を叩いた。



「あっゆみぃ、ご飯、食べよ!」

「はいはい、ちゃんと聴こえてるわよ」



歩美は微苦笑を浮かべ、思った。

このコは、いつも、楽しそうだ。

…少し、羨ましい。



小春は大きな瞳をくりくりと丸めた。



「どしたの、歩美?」

「なんでもない」

「ふぅん?」



蒼意が教室を出ていくのが、視界の隅に映る。



「あ~ゆ~みぃ~?」

「あ、ごめん。なに?」



小春は泣き真似をして、目元を拭った。



「私の歩美が上の空…」

「誰がアンタのだ」


< 6 / 132 >

この作品をシェア

pagetop