君が見上げたあの空は
歩美は屋上への扉を開けた。

中央辺りには、蒼意が仰向けに寝ている。

屋上に足を踏み入れ、端に座り込み、写真詩集を取り出す。

そして、歩美は旅立った。





始業五分前のチャイムが、歩美を屋上に帰らせた。

写真詩集を畳み、鞄にしまう。

立ち上がり、中央辺りに歩み寄る。



「空知くん。行くわよ」

「今日は、怒鳴らないんだ」

「まあね」



蒼意は立ち上がり、腕を差し出した。



「なによ?」

「袖掴んで、引っ張って」



歩美はくすりと笑い、蒼意の襟元を掴んで歩きだした。




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