君が見上げたあの空は
昼休み。



歩美は訊ねてみた。



「ねぇ、小春」

「ん。なに?」



小春は小動物の様に、メロンパンをかじっている。



「近衛誠か小日向望のどっちか、知ってる?」



小春は目を輝かせた。



「そりゃ、知ってるよ。どっちも、彼女のために事件に遭って、乗り越えた先輩方だよ!」

「へぇ」



小春は頬を膨らませた。



「歩美から訊いたくせに、リアクション小さいぃ」

「いや、イメージが追いつかなくて」

「イメージって、会ったわけでもないのに…」

「会ったわよ」



小春は飲んでいた缶珈琲を吹き出しかけて、口を押さえた。

咳き込む小春を見て、歩美は初めて思う。

ホントに、有名なんだ。



「どっちも、普通のいい人だったわよ」

「歩美、ずるい。その記憶、私に寄越せ!」

「んなこと言われてもね」




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