君が見上げたあの空は
オーダーを届けた誠を引き留める小春を見ながら、歩美は思う。

小春がただの無邪気ガールじゃないのかなんて、考えたことも無かったな。



「近衛先輩。ぜひ、花月先輩とのラヴストーリーをお話ししてください!」

「すみません。あまり雑談にかまけていると、店長に怒られてしまいますので…」

「じゃあ、終業後にお願いします!」

「高校生は、補導されてしまう時間になりますので…」



歩美は思った。

…この粘りは、ちょっと凄いかも。

近衛先輩、ちょっと圧され気味だし。

小春が水を向ける。



「歩美からもお願いしてよ、お話しぃ」

「近衛先輩が困ってんでしょうが。止めときなって」



小春は泣き真似をして、目元を拭った。



「私の歩美が味方してくれない…」

「あたしは、同じボケにはツッコまないからね」



小春は頬を膨らませた。



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