君が見上げたあの空は
歩美は思う。

歩み寄り。

多少、強引な気もするけど、小春には、それが出来ている。



「…小春は、いいね」



…あたしには、出来ていない。

出来る気もしない。



「なにが?」



小春はくりくりと丸い目を向けた。



「…なんでもない」



立ち入れない。

踏み込めない。

堪らなく、怖い。



「言いなさいよ、歩美ぃ!」

「本当に、なんでもないの」



役割でもない、あたしを晒す。

それを、触れ合うものに応じて、変化させる。

…あたしには、出来そうもない。




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