君が見上げたあの空は
歩美が泣き止んだ時には、既に、とっぷりと日が暮れていた。

毎度、よくもこんなに、泣くものだ。

と、自嘲気味に、歩美は思う。



「歩美さん。お腹、すいてない?」

「…すきました」

「じゃあ、まずは、ご飯ね」



愛歌はころころと笑った。



「丁度沢山、お肉を買って来たの。今夜は、焼肉よぅ」



なにが丁度なんだ。

いや、ガツガツと、食い散らしてしまおうか。

スカッとしそうだ。

なるほど。

丁度いい。

歩美は、頬が緩むのを感じた。




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