君が見上げたあの空は
歩美は鼻をかんで、愛歌と、調理の準備をした。



「匂い、髪についちゃいますかね?」

「じゃあ今日は、お姉さんが、しっかり、丁寧に洗ってあげる」



愛歌の言葉に、背筋が凍る。

見られるのか、他の人に、この、醜い身体を?



「…お風呂、一緒に…?」



愛歌は皿を広げてゆく。



「だめかしら?」



歩美は唇を噛んだ。



「…愛歌さんに…、軽蔑…されたくない…です…」



つっかえながらの、歩美の返事に、愛歌は目を細めた。



「私が知っている貴方なんて、たかがしれているけれど」



でもね、と愛歌は微笑んだ。



「それでも、私は、貴方が好きよ」




< 79 / 132 >

この作品をシェア

pagetop