君が見上げたあの空は
「…あたしを…?」

「そう。貴方を」



歩美は唇を噛んだ。



「…嘘…です」



愛歌はふふふと笑った。



「私は別に、貴方がどんなものを抱えていようが、どれだけ抱えていようが、驚きもしないし、ましてや軽蔑なんて、とんでもないわ」



歩美は俯き、搾り出す様な声で言った。



「…不可能です。そんなこと」

「あら。あらあらあらぁ。それは確信かしら。それとも、絶望かしら?」



歩美が顔を上げると、愛歌のまっすぐな視線が交わった。

愛歌は微笑んでいた。




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