君が見上げたあの空は
歩美は、肉を皿にとり、眺めた。

まだ、熱そうだ。



「…ストリキニーネって…?」

「毒の一種。飲むと、死に至る様なものよ」



愛歌は、肉をとり、タレをつけ、口元に運んだ。



「その苦さの本質は、薬かしら、毒かしら?」



そう言って、愛歌は肉を口に入れた。



「…本質…」



呟き、歩美は思う。

苦さは、表れる要素の一つでしかないのか。

とった肉を箸でつまむ。





これは、本当に、熱いんだろうか?





肉をタレにつけ、口の中に放り込んだ。




肉は、温かかった。



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