君が見上げたあの空は
女性が二人で食べるには、少し多いであろう食材を平らげて、消臭と食器洗いを済ませて、一息。



「歩美さん。お風呂、どうする?」



愛歌は天気の話でもする様に、何気なく訊ねた。

歩美は奥歯を噛み、肩を抱いた。



「…愛歌さんは、なにを見ても、その、平気なんですか…?」



愛歌はふふふと笑った。



「そうねぇ。少なくとも、見つめる自信は有るわ」



歩美は、上目遣いを愛歌に向ける。



「…見つめる、…だけですか?」

「許されるのなら、撫でることも、抉ることも」



愛歌はふふふと笑った。



< 84 / 132 >

この作品をシェア

pagetop