君が見上げたあの空は
歩美と蒼意が教室に入った時にはもう、HRは、始まりかけていた。

歩美は横目で、蒼意を睨む。

コイツさえ、すぐに走り出してくれれば、間に合ったかもしれないのに。

生徒の一人が声を上げた。



「おぉ、なんだぁ、夫婦揃って、真打ち登場かぁ!」

「誰が夫婦だ!」



歩美は、切れそうな息で、精一杯、声を張った。

蒼意は顎に手を当て、感慨深げに、口を開いた。



「のっぺさんが俺の嫁か…。悪くないな」

「乗っかるな!」



歩美は咳き込んだ。

視界の端に、小春が腹を抱えているのが写った。




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