君が見上げたあの空は
「よ、よかったです…」

「そうよね、そうよねっ!」



響は腕を広げて、くるくると回った。



「あんな色が、あんな景色が、実在するのよ。ふふふ。信じられる?」



響はまた、くるくると回った。



「加えて、あの手法。切り取るではなく、描き出す。実在を抉る!」



響は興奮している様だったが、声の大きさは、抑えていた。

それが尚更、響の情熱を的確に表現していた。



「だからこそ、旅立てる。そこにある、世界に!」



響は身体を止め、歩美に微笑んだ。




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