優しさの理由
気管が狭くなったような感覚に襲われ


呼吸をするのが酷く苦しくなる


体に力が入らなくなり


俺はその場に崩れ落ちた


早く…助けを呼ばない…と



そう思った時


ガラガラ-


誰かが病室に入ってきた

「空ー!?いないの??」


入ってきたのは鈴だった


ベットの反対側の床に倒れている俺の姿は


鈴には見えていないらしく


鈴は俺の名前を何度も呼んでいる


俺は居場所を知らせる為に返事をしようとした


だが…呼吸困難を起こしている状態ではそれが出来なかった



『ゲホッゲホゲホ…ゼェ…ゼェ…ゲホッゴホ…ゲホッ…ゲホゲホ』


返事の代わりに咳込む音が病室に響いた。


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