岬の夕陽
「こんな時間までありがとう。何だか少しだけ元気が出てきた」

「うん、俺もだよ」

「じゃあ、元気でね」

「…あのさ。これ、俺の電話番号だから…」

「ごめん。うちからじゃ、電話かけられないし、このあたりに長距離かけられる公衆電 話なんてないから」

「そうか…」

「手紙もムリだと思う。郵便局までいかなきゃいけないから…」

「…うん。そうだね」

「ごめんね」

「じゃあさ。今、次会う日を約束しようよ」

「えっ?」

「次会う日を決めておくのさ。そうだ。今度のお正月休みに来るよ。1月2日夕陽が沈む時。あの岬で待ってて」

「うん、わかった」

「じゃあ、元気でね」

「…うん。史郎さんも」
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