《中》マケイヌとカチネコ


 佐吉の後を歩いていくと、広場のような所に辿り着いた。


「おはようさん。」

「オハヨアル。」

「おはようじゃ。」

「おはようですわ。」

「good morning!」

「……はょ…。」

「おはよう。」


───なんなんだこれは。朝の挨拶だけなのに、誰一人言葉が一致しない。


「はよーごぁいまーす…ふわあぁぁぁ…むがごっ!?」


 急に口を塞がれた。誰かと振り返る前に、歌誌葉の怒鳴り声が聞こえてきた。


「欠伸する時は口を手で抑えろこのアホ───ッ!!」


─キィィィィィン…。


 皆、口よりも先に耳を抑える。無論、俺も例外ではない。


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