《中》マケイヌとカチネコ
「……じゃあ…気のせいですかね?」
「ん?何がじゃ?」
無邪気に聞いてくる舞花。
俺の見間違いかもしれない。そう思いながらも、確認の為に重い口を開く。
「…俺の目には…汰輔がニヤケているように写るんです…。」
「なんじゃと?」
2人の視線の先に写る汰輔は、佐吉が走り去って行った方向と、歌誌葉を見比べながら、1人でニヤケていた。
「「……………。」」
暫しの沈黙の後、舞花がゆっくりと汰輔の方へ近付いた。