《中》マケイヌとカチネコ
「歌誌葉は、恋愛とかしてないのか?」
「……!?」
汰輔の顔が変わった気がしたが、もう思い切って無視してしまうことにした。
「そんなん、アタシに聞いてどうするんよ?」
「どうもしねぇけど。周りの奴等はしてるみたいだから、歌誌葉はどうなのかなぁって思って。」
「ふぅーん。」
「…嫌ならいいんだけどな。」
「あぁ、別に嫌ちゃうねん。ちょっと言おうか迷うてて。」
───迷うなら嫌なんじゃねぇの!?
「ちなみに、流樹はどうなん?」
───言わねぇのかよ!!
「俺?俺は………居ねぇよ。」
一瞬、亜魅の顔が頭に浮かんできたが、もう終わったことだ。その上、死んだとなれば、もう会うことも叶わないだろう。
「…そっか。」
「お…おう。」
───なんだその言い方可愛「……歌誌葉は…?」
「「…は?」」
俺と歌誌葉の声が見事に重なる。