《中》マケイヌとカチネコ


「何がや?」

「……好きな人…。」


───それ聞いちゃう!?


「アタシの?好きな人?」


 汰輔が無言で頷く。


「流樹も聞きたい?」


───何でこっちに振るんだよ!!


 そう思いながらも、素直に黙って頷いた。


「アタシの…好きな人…。」


 急にモジモジし始める歌誌葉。

 そんなに俺のことチラチラ見なくても、ちゃんと聞き届けるまでここに居るのに。


「お…居る「……誰…?」よ」


───マジかよ汰輔ぇぇぇ!?『よ』と重ねやがった!?


「え…それ…聞いちゃう?」


───ほらいつも強気な歌誌葉が、あんなに焦ってるよ!?


「じゃ…じゃあ…汰輔はどうなん?」


 上目遣いで汰輔を見る。


「……っ…俺のより…歌誌葉のが…聞きたいし…重要…。」


 上目遣いが一瞬だけ効いた。


「どういう意味やねん!?」


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