《中》マケイヌとカチネコ


「…祈衣華。」

「…歌誌葉さん。」


 2人はその後、歌誌葉のテントの中で、向かい合って座りながら、小さな声で話していた。


「祈衣華。抜け駆けはようない。」

「え?…もしかして…歌誌葉さんも…!?」


 黙って頷く歌誌葉に、祈衣華は目を丸くする。

 歌誌葉はフッと笑うと、祈衣華の耳元で囁いた。


「今日からはライバルやで、祈衣華。」

「…望む所です…!」


 歌誌葉と祈衣華の目には、強い意志が漲っており、それを互いに確認し合うかのように、互いの顔を見つめ合うと、


「…絶対に負けません…歌誌葉ちゃん…!」


 祈衣華が歌誌葉の呼び方を変えた。


「正々堂々、勝負や!」


 それはまるで、開戦の前の儀式の様。


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